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先月、読売新聞と共同通信社は、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った世界初の臨床応用をM氏(48)が行ったとする報道について、事実無根だったとおわびする編集局長名のコメントを出した。

私は、この大誤報について、おわびのコメントで一件落着するだろうと思っていた。

しかし、報道各社は私の予想に反し、M氏を執拗に追いつめ、見苦しい程の取材を進めていた。感ずるところ、一部の報道側の目的とするところは、M氏のiPS細胞の臨床応用報道について、「やむを得なかっ

たのだ」「報道した側に過失はない。」というアリバイづくりのため、本人から確信的な説明を得ようと取材に奔走しているように映った。

これは、ノーベル賞を受賞した山中教授の大ニュースに乗っかったスクープ報道を目論んだものであったのだろうか。しかし、それが外れ、大誤報となってしまった。

そのマスコミを責めるつもりはないが、裏付け取らない報道についてあまりにも稚拙すぎないかと感ずるのは私だけではないと思う。

かつて「遺跡ねつ造」をスクープした毎日新聞特別取材班のドキュメント綴りを目にしたことがある。その裏付けは、完璧と言える内容であった。私の経験則からしても、これほどの裏付けをした毎日新聞取材班に敬服

したものである。

今回のスクープ報道は、この取材班ほどの「ウラ」を取った形跡もないし、疑問が多かった。

翻って、商取引も同じであろう。相手方と取引をしようとする場合、当然に、資力とか、負債とか、目的とか、契約の動機などを調べ、契約先として問題がないかという意味での心証を取る。そして、安心したならば、

交渉を進めていく。これが「ウラ」取るという意味である。情報に対して、複眼的に検証を進めなければいけないのである。

今回の大誤報は、最近の報道機関の問題点の多くを我々に提起してくれたように思える。

 

 

【写真のこと】

山中教授が自作したイラストです。ES細胞が直面している課題を「涙を流す胚」(上)、「腫瘍ができて涙を流すマウス」(下)で表現したと言います。中嶋教授のイラスト

コメントはまだありません | 村上 洋一

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