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いつもと同じ通勤電車の中。
車窓の中では秋の柔らかい日差しを受け、夏を精一杯生きた緑たちが、艶やかに色めき始めている。うららかな小春日和の朝。
だが、乗り込んでから一駅ほど過ぎたころ、社内の空気が一変してしまう。
座席に座っている50代ぐいらいのオジサンが、大きな声で自分の前につり革立ちしている青年を叱責し始めたのだ。
「罪を犯したら警察が黙っていないのだ~」
「俺の言っていることが本当に分かっているのか、このやろうー」
驚くほど大きな声で怒鳴っている。
だがよく見ると青年をにらんでいたはずの、そのオジサンの視線が少し外れている。
怒られていると思ったその青年も、視線を合わせないように斜め45度上を痛々しいほどに凝視している。
そう、それはあぶないオジサンだった。
「正義は必ず勝つのだ。分かってるのか~、この馬鹿野郎~」
腹に響くような怒声が電車の中を木霊する。
なんという大きな声だろう。若いとき応援団にでも入っていたのか?
至近距離でやられたので、私も動悸が激しくなる。
どこを見つめているのだろう。視線は何も無いはずの空中の一点で結ばれている。
オジサンのうるささとは反比例して、電車の乗客は恐怖で震撼し、完全に固まっている。
時が青く染まっていく・・
「このオジサン、凶器とか持っていないよな」
「あ、危なすぎるぞ、おい・・」
皆の心の声が聞こえてくる。
助かったことに、ずっと叫び続けていたオジサンは、終点を待たずに途中下車していった。
降りるときに、「すみませーん、ちょっと通してくださいね~」
目つきも話し方も全く普通の紳士に戻っている。
あんなふうに一般生活を送っているものなのか・・
一瞬での「普通」への変貌が、逆に言いようのない恐怖を湧き上がらせる。
電車は何もなかったかのような顔で、いつもの終点へ向かって走っていった。

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